500文字恋愛小説
№32 肩こり
「ううっ。
肩痛い……」
向かっていたパソコンから顔を上げ肩を回すと、激痛とともにごりごりと音がしそうだった。
「わるいね、付き合わせて」
「あ、いえ。
……こんなこと、私がするのに」
「いいよ、別に」
深夜の残業。
課長が淹れてくれたコーヒーに口をつける。
リムレス眼鏡の奥の、課長の目は仕事のときとは違い、優しいものになってる。
……ふたりっきり、だから。
「肩こり?
長時間、入力させっぱなしだもんね」
後ろに回った課長の手が私の肩にふれると、ゆっくりと揉みほぐしだした。
「あっ、あっ、そこ」
「ばか、なんて声出してんの。
誰かに聞かれたら誤解されちゃうでしょ」
「だって気持ちいいんだもん……」
私を見つめる、レンズの向こうの瞳に目を閉じた。
ふれた唇に漏れた今度の声は、弁明のできないものだった。
肩痛い……」
向かっていたパソコンから顔を上げ肩を回すと、激痛とともにごりごりと音がしそうだった。
「わるいね、付き合わせて」
「あ、いえ。
……こんなこと、私がするのに」
「いいよ、別に」
深夜の残業。
課長が淹れてくれたコーヒーに口をつける。
リムレス眼鏡の奥の、課長の目は仕事のときとは違い、優しいものになってる。
……ふたりっきり、だから。
「肩こり?
長時間、入力させっぱなしだもんね」
後ろに回った課長の手が私の肩にふれると、ゆっくりと揉みほぐしだした。
「あっ、あっ、そこ」
「ばか、なんて声出してんの。
誰かに聞かれたら誤解されちゃうでしょ」
「だって気持ちいいんだもん……」
私を見つめる、レンズの向こうの瞳に目を閉じた。
ふれた唇に漏れた今度の声は、弁明のできないものだった。