500文字恋愛小説
№38 知ってる
「あのね。
えっとね。
……好き、です」

「……知ってる」

「はいっ!?」

告白相手の彼の口から出た言葉に動揺した。
だって、ずっと、隠してたはずなのに。

「あのさー、あんだけあからさまにこっち見てたり、そのくせ目があうと速攻逸らされたりしてみ?
それでわかんない奴って、よっぽど鈍いんだと思うけど」

「……」

……確かに。
そんなこと、した。
でも、気付かれてないと思ってた。
改めて指摘されると、顔から火が出るほど、いや、穴があったら入って埋まってしまいたいほど恥ずかしい。

「恥ずかしがるのが可愛いもんだから、放置してた。
告ってきたらどんだけ恥ずかしがるんだろう、って楽しみにしてたら……破壊力、抜群」

おそるおそる顔を上げたら、真っ赤になってる彼が見えた。

「こんな可愛いの、俺のものにしていいのかな?」
< 38 / 103 >

この作品をシェア

pagetop