500文字恋愛小説
№39 中華まん
「あ。
コンビニ、寄らねー?」

「コンビニ?
いいけど」

学校帰り。
彼とふたりでコンビニに寄る。
雑誌をチェックして、新商品のお菓子をチェックして。
デザートに新しいのが出てたけど、お小遣い日前だから、ちょっと我慢、かな。
結局なにも買わないまま、彼の後ろをついて歩く。

「肉まんと……おまえ、なにがいい?」

「買ってくれんの?」

「さっきから買いたいの我慢してんの、丸わかり」

「じゃあ、ピザまん」

「肉まんとピザまん。
以上で」

お店を出ると、さっき買ったピザまんを渡してくれた。
あっつあつのそれにがぶりと噛みつく。

「寒いと無性に、食べたくならねー?」

「あー、確かに」

肉まんを頬張る彼からも白い息。
がつがつと食べるその大きな口にどきりとした。
< 39 / 103 >

この作品をシェア

pagetop