500文字恋愛小説
№4 クリスマス
もうすぐクリスマス。
彼と付き合い始めて初めてのクリスマス。
……なのに。

「クリスマスは仕事です。
二十三日は忘年会。
二十六日は取引先の付き合い」

社会人の彼。
忙しいのはわかってる。
クリスマス、一緒に過ごしたいっていうのも、子供っぽい私の我が儘だってことも。

「……いい。
私もバイト、入れるから」

……はぁーっ。
俯いたあたまの上にため息の音。
そんなに呆れることですか? 

「ちゃんと俺の話、聞いてた?」

「……聞いてたよ。
クリスマス、仕事だって」

「そう。
クリスマス“は”仕事」

「……繰り返さなくていい。
余計にへこむから」

「莫迦か、おまえは。
クリスマスは仕事。
クリスマスイブは何日だ?」

「……二十……四……日」

思わず顔を上げると、困ったように笑う彼。

「イブの夜は空けてる。
残業も断る。
……なんか文句、ある?」

嬉しくて抱きついたら、唇が重なった。
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