500文字恋愛小説
№43 匂い
「なんの匂い?」

「え?」

会社帰りのデート。
彼に会うと嫌そうな顔された。

「香水の匂いがする。
おまえのイメージにあわない、下品な奴」

「……もしかしたら」

最近、うちの部署に赴任してきた主任。
自意識過剰なのか、気分が悪くなるくらい香水ぷんぷん。
今日、外回りのお供についてたから、匂いが移ったのかな。

「なんか、むかつく」

「はい?」

「予定変更。
直でおまえんち。
さっさと風呂入ってその匂い落とせ」

「えっと?」

「ほかの男の匂いとか、マーキングされたみたいで腹が立つんだよ!
おまえに匂いつけていいのは俺だけ」

手を掴むと彼は私を引っ張って足早に歩き出した。
なんだか、独占欲丸出しの彼が可愛かった。
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