500文字恋愛小説
№56 インフルエンザ
「……最悪」
 
風邪をひいた、そう思って病院に行ったらインフルエンザの診断。
これで一週間ほど、ひきこもり決定。

【インフルエンザだって。
しばらく会えない】
 
メッセージを彼に送り、薬を飲んでベッドに潜り込む。
うとうとしてたら枕元の携帯がピコンとなった。

【大丈夫か?
帰りに寄る】

【は?
莫迦じゃないの?
うつるからダメ】
 
これでくることはないだろうと思ってたのに、――夜。
 
ピンポンと鳴ったチャイムに嫌な予感がしながらドアを開けると、彼が立ってた。

「差し入れ」

「ありがと。
……じゃなくてね!
莫迦じゃないの!?」

「マスクしてきたら大丈夫」

「そういう問題じゃなくてね!」
 
呆れてる私とは反対に、すました顔してあたまぽんぽんして彼は帰っていった。
残された私が実は、にやけていたことは内緒。
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