500文字恋愛小説
№57 義理ですが?
「はい、チョコ」

バレンタイン。
同僚のあいつにチョコを突きつける。
ちなみに用意したチョコはゴディバの期間限定品。

「……ありがとう」


「まあ、義理よ、義理!」

ふと視線を向けた机の下には、紙袋に入ったいくつかのチョコ。

「……ごめん」

「別になんとも思ってないし!
もらえてよかったわね!
私の義理だから、関係ないし!」

「義理、ね」

ゆっくりと立ち上がった奴が私を見下ろす。

……やばっ、怒らせた!?

「ならなんで、さっきから泣きそうなの?」

「別に、泣きそうとか……」

確かにさっきから、目頭が熱い。
そんな私に奴は大きなため息をついた。

「義理だろうとなんだろうと。
おまえのが一番嬉しいよ。
OK?」

満面の笑みで頷いてしまう私は、なんて単純なんだろう。
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