500文字恋愛小説
№63 宅配便
――ピンポーン。

「はーい」

「お荷物でーす」
 
……ん?
いつもはおじさん配達員なのに、今日は声が若い?

不思議に思いつつドアを開けると、このあいだまできてたおじさんではなく、若い配達員が立っていた。

「こんにちは」
 
爽やかな笑顔に白い歯が零れる。
かいてる汗すら爽やかに見えるのはなんでだろう?

「こんにちは……」
 
……ああ。
休みで一日だらだらしてるからって、適当な部屋着にすっぴん、だっさい眼鏡姿の自分が悔やまれる。

「こちらにサイン、お願いします」

「……はい」
 
荷物を受け取ると手がふれた。
思わず引っ込めてしまい、荷物が……。

「っと。……セーフ、ですね」
 
にっこりと笑う彼に心臓の鼓動が早くなる。
俯き、黙ってしまった私に彼が言った。

「……また、来ますから」
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