500文字恋愛小説
№7　星の話を聞かせてください
「なに書いていいのかわかんない……」

こたつに足を突っ込み、年賀はがきを前にうだうだ考える。
もう一日に届くタイムリミットは過ぎた。
一刻も早く書き上げてポストに投函しなればならないのはわかるが、なにも書けずにいる。

とうとう、新年の挨拶なんてLINEで済ませればいいんじゃない？なんて考え出す始末。
しかし、あの人にはちゃんと手書きの年賀状を送ろうと決めたのだ。
ここに来て挫けるわけにはいかない。

「……別に、ラブレターじゃないんだし」

こたつに長い時間入っているせいか火照る頬でペンを掴む。

えっと。
昨年中はお世話になりました、今年もよろしくお願いします。

当たり障りの文章を書いたが、納得はいかない。
もう少し考えて、一文を足す。

――今度、ゆっくりあなたの好きな星の話を聞かせてください。

これが、デートの誘いだと気づいてくれるような人ではないけれど。
少しくらい、ドキドキしてくれたらいいな。
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