500文字恋愛小説
№79 バック
彼とのドライブ。
眺めのいい景色に楽しい会話。

休憩でコンビニに入ると、彼は駐車しようと、車をバックさせた。
彼の手が自然と、助手席のシートの後ろに回される。
なんかそういうのに……ドキドキする。

「ん?」
 
一瞬、
不思議そうに私の顔を覗き込んだ彼だけど、赤くなってることに気が付いたのかにやりと笑った。

気持ちを落ち着かせようとコンビニでは冷たいお茶を買う。
そんな私に、車に戻っても彼はずっとニヤニヤしっぱなし。

そういうのにちょっとむかつくなとか思いながらも、言い返せない。
 
高台の、人気のない展望台。

車なんてガラガラなのに、彼はわざわざ車をバックさせて駐車する。
手は当然、私の座ってる助手席の後ろ。
早い心臓の音はきっと、彼の耳に届いてる。
車が止まってほっとため息。
……だけど。
 
……チュッ。
 
突然ふれた唇に、
私の身体からはシューシューと
湯気が上がった。
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