500文字恋愛小説
№84 人差し指
「主任、これって……」
向かいの席に座る主任に引っかかった資料をみせると、わざわざ席を立って私の後ろに回ってきた。
「どこ?」
「ここ、なんですけど。
こっちの資料と今回送ってもらったので違ってて」
「うーん。
どっちが正しいんだろね?
でも、確認しようにも今日はもう無理」
時計は既に、八時を指してる。
課内にはほとんど人がいない。
「そうですね。
先方にメールだけ送っときます」
「うん、そうして」
顔を上げたら、主任の顔が思いの外近かった。
……吐息すら、かかってしまうほどに。
思わず固まってしまった私に主任の顔がもっと近づき、……唇が、ふれた。
「……主任」
「ん?」
主任はいたずらっ子のように笑って、自分の唇の前に人差し指を一本立てた。
向かいの席に座る主任に引っかかった資料をみせると、わざわざ席を立って私の後ろに回ってきた。
「どこ?」
「ここ、なんですけど。
こっちの資料と今回送ってもらったので違ってて」
「うーん。
どっちが正しいんだろね?
でも、確認しようにも今日はもう無理」
時計は既に、八時を指してる。
課内にはほとんど人がいない。
「そうですね。
先方にメールだけ送っときます」
「うん、そうして」
顔を上げたら、主任の顔が思いの外近かった。
……吐息すら、かかってしまうほどに。
思わず固まってしまった私に主任の顔がもっと近づき、……唇が、ふれた。
「……主任」
「ん?」
主任はいたずらっ子のように笑って、自分の唇の前に人差し指を一本立てた。