500文字恋愛小説
№86 パインアメ
いつも通り仕事してたら、机の上に置かれた、アメ。

「……ホワイトデー、だから」
 
見上げると、照れてるように笑ってる彼がいた。

「忘れてたんでしょ」
 
置かれたアメは包装なんてしてないどころか、ただ一個。

「……うるさい」
 
図星を突かれた彼は赤くなってる。
そういうとこ、可愛くて好きなんだけど。

「まあいいや。
一応くれたんだから、許す。
ありがと」

「あ、いや、今晩食事でも……」

「そーだーねー」
 
ご機嫌な私に彼は怪訝そうだけど。

……ねえ、知ってる?
あんたの置いた、パインアメ。

アメは“私もあなたが好きです”。
パインの花言葉は“私はあなたにとって最愛の人です”。

あんたは私が一番好き、ってことなんだけど?

……あとで教えてあげたら、あんたはどんな反応するのかな。
< 86 / 103 >

この作品をシェア

pagetop