500文字恋愛小説
№88 言うこと、ない?
「先生。いままでお世話になりました。
ありがとうございました」
最後のホームルームが終わり先生を探すと、化学準備室でひとり、書類に向かってた。
「わざわざ僕に?ありがとう」
用意していた花束を差し出すと、立ち上がって受け取ってくれた。
ふんわりとした笑顔。
もうそれだけで満足、っていうか。
「とうとう卒業か。
ちょっと淋しくなるな」
気が付いたら至近距離で先生が立っていた。
俯いていた私の顎に手がかかり、上を向かされた。
レンズの向こうの、黒目がちなきれいな瞳がじっと私を見てる。
「君は他に、言うことはないのか?」
「先生……?」
「これで終わりで本当にいいのか?」
少しだけ潤んでる、先生の、目。
言わないつもりだった。
そんな勇気はなかったから。
……だけど。
「……先生が、好き、です」
嬉しそうに笑った先生の顔が近づいてきて……唇が、ふれた。
ありがとうございました」
最後のホームルームが終わり先生を探すと、化学準備室でひとり、書類に向かってた。
「わざわざ僕に?ありがとう」
用意していた花束を差し出すと、立ち上がって受け取ってくれた。
ふんわりとした笑顔。
もうそれだけで満足、っていうか。
「とうとう卒業か。
ちょっと淋しくなるな」
気が付いたら至近距離で先生が立っていた。
俯いていた私の顎に手がかかり、上を向かされた。
レンズの向こうの、黒目がちなきれいな瞳がじっと私を見てる。
「君は他に、言うことはないのか?」
「先生……?」
「これで終わりで本当にいいのか?」
少しだけ潤んでる、先生の、目。
言わないつもりだった。
そんな勇気はなかったから。
……だけど。
「……先生が、好き、です」
嬉しそうに笑った先生の顔が近づいてきて……唇が、ふれた。