500文字恋愛小説
№96 お花見
……気候もいい。
天気もいい。

けれど。

……ひとり放置は勘弁して欲しい。

満開の桜の下、ぽつりぽつりと私と同じ境遇の人間。
本読んでたり、携帯いじってたり、まあ、そうでもして時間を潰すしかないわけで。
私もハマってる携帯小説を読むことにした。
 
……なんか、冷えてきた。
お手洗い、行きたい。
ちょっとくらい離れてても大丈夫かな、でも。

ぐるぐると考えてたら、隣のスペースに座ってた、男と目があった。

「あー」
 
ちょいちょい、トイレの方を指さされ、無言で頷く。

「いっといで。
俺が見ててあげるから」

「ありがとうございます!」
 
ピンチだっただけにダッシュ。
戻り際、屋台でたこ焼きを買った。

「これ、お礼です」

「よかったのに」
 
スペースの境目に座り、そのまま話した。
感じのいい彼。
……連絡先、聞いてもいいかな?
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