8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
プロローグ
フィオナ・オールブライトには、十七歳の政略結婚打診を起点として、人生がループしていた期間がある。
政略結婚の相手は、隣のオズボーン王国の王太子・オスニエル。
彼は、聖獣の加護に頼るブライト王国を嫌っており、側妃として嫁いだフィオナとは、ほとんど話もしなかった。その後も戦争による領土拡大を続けるオズボーン王国は、フィオナが二十歳になる頃、母国ブライト王国を征服した。
同盟の象徴としての役割を失ったフィオナは、情報漏洩の冤罪をかけられ処刑された。
これが彼女の、一度目の人生の終わりだ。
しかし、なぜだか目を開けると、政略結婚を打診された場面へと戻っていたのだ。
わけもわからないまま、再び始まった十七歳を、今度は婚約破棄することで変えようとした。しかし、それはオズボーン王国の怒りを買うことになり、今度は二十歳になる前に生涯を終えたのだ。
そんなループ人生をフィオナは結局、七回生きた。
もちろん、漫然と同じ人生を歩んだわけではない。
誰かの愛を得て幸せになろうと、結婚自体から逃げたり、あるいは夫に気に入られるよう媚びてみたりと、生き残るために努力をし続けた。
しかし、いずれの人生も死によって終ったことにより、フィオナは疲れ果ててしまった。たったひとりの人と、愛し愛されて生きたいという乙女心も、すっかりなくなってしまった。
だから八度目のスタート時に誓ったのだ。もう愛情などいらない。そんなことより、自国の国民を守り、自分らしく楽しく生きることを優先しようと。
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