8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
思わずクスリと笑ってしまうと、オリバーがギュッと抱き着いてくる。
「オリバー?」
「……ぼ、いらない?」
彼は彼で、幼いなりに祖父の言葉に含まれる自分への侮蔑がわかっているのだろう。
「お父様は、オリバーが大切だって言っているのよ?」
「ぼく、いる?」
アイラがひょいと手を伸ばし、オリバーのそれを握る。
「いる!」
「あたり前よ」
フィオナとアイラにそう言われて、オリバーは少しだけ表情を緩めた。
再び手をつなぎ直してみると、今度はオスニエルがジャネットに食って掛かっていた。
『大体、ジャネットだって嫌じゃないのか? かつて縁談を蹴った俺のことなど』
『そうですわね……』
ジャネットは不敵な微笑みを浮かべ、おろしていた髪を手で梳いた。
ふわりと立ち上がる芳香が、黒い煙のように見えた。うしろにいた影が揺れる。
近くにいた文官の目つきが、どんどんうつろいだものになっていく。
『つまり、オスニエル様は、フィオナ様がおられるから、わたくしとは縁談を結びたくないということですわね。であれば、フィオナ様がいなくなればよろしいのかしら』
まるで誘導のようなひと言。国王と文官たちはぼやけたまなざしのまま頷いた。
慌てるのはオスニエルだ。しかし、彼が動く前に、国王が文官へと命令を出した。
『そういうことだな。お前たち、騎士団にフィオナ妃をとらえるよう伝えろ』
『はっ』
文官は素早い動きで踵を返し、出ていく。
『そうですな。フィオナ妃がいなくなれば、オスニエル様もあきらめがつくでしょう』
そう繰り返した宰相の目はうつろなままだ。エリオットはただ静かに、状況の変化を眺めている。
居ても立っても居られないというように、ローランドが走り出した。
『フィオナ様が危ない』
『あっ、待て』
オスニエルが追いかけるのを、ジャネットはただ静かに見つめている。
エリオットは、そんな彼女に視線を向けた。
「オリバー?」
「……ぼ、いらない?」
彼は彼で、幼いなりに祖父の言葉に含まれる自分への侮蔑がわかっているのだろう。
「お父様は、オリバーが大切だって言っているのよ?」
「ぼく、いる?」
アイラがひょいと手を伸ばし、オリバーのそれを握る。
「いる!」
「あたり前よ」
フィオナとアイラにそう言われて、オリバーは少しだけ表情を緩めた。
再び手をつなぎ直してみると、今度はオスニエルがジャネットに食って掛かっていた。
『大体、ジャネットだって嫌じゃないのか? かつて縁談を蹴った俺のことなど』
『そうですわね……』
ジャネットは不敵な微笑みを浮かべ、おろしていた髪を手で梳いた。
ふわりと立ち上がる芳香が、黒い煙のように見えた。うしろにいた影が揺れる。
近くにいた文官の目つきが、どんどんうつろいだものになっていく。
『つまり、オスニエル様は、フィオナ様がおられるから、わたくしとは縁談を結びたくないということですわね。であれば、フィオナ様がいなくなればよろしいのかしら』
まるで誘導のようなひと言。国王と文官たちはぼやけたまなざしのまま頷いた。
慌てるのはオスニエルだ。しかし、彼が動く前に、国王が文官へと命令を出した。
『そういうことだな。お前たち、騎士団にフィオナ妃をとらえるよう伝えろ』
『はっ』
文官は素早い動きで踵を返し、出ていく。
『そうですな。フィオナ妃がいなくなれば、オスニエル様もあきらめがつくでしょう』
そう繰り返した宰相の目はうつろなままだ。エリオットはただ静かに、状況の変化を眺めている。
居ても立っても居られないというように、ローランドが走り出した。
『フィオナ様が危ない』
『あっ、待て』
オスニエルが追いかけるのを、ジャネットはただ静かに見つめている。
エリオットは、そんな彼女に視線を向けた。