8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
「ど、どうやって入ってきたの、そのフクロウ」
「聞いたことはありませんか? ブライト王国は神に守られていると。不思議な力とともに僕らは生きています。多くは望んでいませんが、自分と自分たちの国民を守るときは力を出し惜しみはしません。姉上が嫁いだ以上、この国も縁戚ですから、このまま黙ってみているわけにもいきません」

 エリオットの合図で、ホワイティが羽ばたく。彼女が作った薬をまき散らしながら、聖なる風が吹いていく。

「きゃあっ」

 においを飛ばすために起こした風なので、発生源となるジャネットを小さな竜巻が巻き込んでいく。

「あれ?」

 エリオットは目をこすった。

「彼女のそばに誰かいる」

 ぼんやりとした影のようなものが、風に巻き込まれた彼女を救いだそうとしている。

「ホワイティ、止めて」
『ええ』

 従順にエリオットに従うホワイティは、そのままいったん姿を消した。
 残されたのは、倒れているジャネットと、風で興奮成分が飛ばされ、茫然としている国王と宰相だ。

「エリオット殿? なんだ、今の風は」

 戸惑う国王に、エリオットは穏やかに微笑む。

「あの、ジャネット様がお倒れになったので、客室にお連れしたいと思うのですがよろしいでしょうか」

 エリオットがジャネットを抱き上げているのを見て、国王は茫然としたまま頷いた。

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