8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
 きっとユーインだ。アイラに見えているのもおそらくそうだろう。

「必死な様子を見れば、彼女を好いていた方でしょう。彼女ももしかしたら、大切な人を亡くして傷ついているのかもしれません。……姉上が、お話なさればいいと思いますよ。こういった話は男よりは女性のほうが聞きやすいでしょう」
「そうね。ありがとう」

 フィオナが部屋に向かおうとすると子供たちもついてきた。

「お前たちはここで待っていればどうだ」

 オスニエルが止めたが、アイラは頑なに首を振る。

「いや。アイラ行く」
「ぼくも」
「キャン」

 最後のはドルフで、『俺が子供たちを守ってやるよ』と言っている。

「行ってきます」

 そう言ったフィオナを、オスニエルとエリオットは見送り、ローランドだけが口を挟もうとした。

「フィオナ様、危険では」
「大丈夫よ」

 フィオナの瞳に、以前にはなかった自信を見て取って、ローランドの胸が切なくきしむ。

(ああ、たった三年なのに)

 それはおそらく、成果を出し、結果を認められたことで得たものだろう。
 フィオナをこんな風に変えたのはオスニエルだ。少なくともローランドではない。だってこの三年間、ローランドはフィオナのそばにはいなかったのだから。
 ローランドは敗北に似た気持ちを抱えたまま、頭を下げた。

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