8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
 ジャネットはハンカチを差し出すフィオナを、不思議なものを見るように眺めた。

「フィオナ様は寛大でいらっしゃるのね。私があなたをここから追い出そうとしていたこと、気づいていたんでしょう?」
「ええ。でもジャネット様は私を嫌ってはいませんよね。それはわかったんです」

 黙ってしまったジャネットの手を、フィオナは微笑んで握りしめる。

「私、ここに来たばかりのときは、嫌みもたくさん言われたし、毒を盛られそうになったこともあります。私を嫌う方の私への態度は、もっと肝心なところで冷たいのです。でも、ジャネット様は、優しい言葉をかけてくださいましたもの」
「フィオナ様」

 ジャネットの心は今すっかり凪いでいた。やってしまったことは戻らないのだから、どうせ罰は受けるのだ。だったらすべて話してしまってもかまわないだろう。
 大きなため息をつき、目をつぶる。

「そうね。どうせもう処罰されるのでしょうから。最後にお話しいたします」

 ジャネットが語り始めると、アイラとオリバーがぴとりとくっついて、彼女のドレスにしがみついた。

「始まりは……そうね。オスニエル様に縁談を断られたことかしら……」

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