8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
 そのうちに、オスニエルが結婚するという噂が聞こえてきた。
 あまたの女性を切り捨てたことによって、正妃を娶るより前に、ブライト王国などという辺境の姫を側妃として娶らなければならなくなったというのだ。

 ジャネットはいい気味だと思った。オスニエルも、少しは結婚で苦労すればいいのにと。
 しかし、一年もしないうちに、その彼女を正妃にむかえるという宣言を聞いたときには、耳を疑った。
 あれだけ傲慢で、人の気持ちなどをひとつも考えない男が、好きな女性を正妃に迎えようとするなんて。

 自分が傷つけた女のことや、彼を見習ったがために命を失った男のことなど、なにも知らずに幸せになるのかと思えば、ひどく腹が立った。

 もうなんでもよかった。オスニエルを、陥れられるのであれば。

 だから、兄からそれとなくオスニエルの側妃にと言われた時も頷いたし、香水を王都に広めたかったのも、王城に争いの種をまき散らしたかったからだ。

 もうジャネットにとって、王太子妃などなんの魅力もない。この国自体が、彼女の守るべきものではなくなっていた。ただ、オスニエルを自分と同じくらい不幸にしてやりたかった。

 だから、彼の愛するフィオナ妃を傷つけ、王城から追い出し、オスニエルの臣下の信頼関係をめちゃくちゃにしてしまおうとしたのだ。

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