8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
  *  *  *

 ロイヤルベリー公爵家に向かう前日、オスニエルはフィオナや子供たちとともに夕食をとった。

「おいちーね!」

 頬を染めて喜ぶアイラと、パンに一生懸命にかじりつくオリバー。子供たちの食事には手伝いにポリーとシンディが付き、汚れた口もとを拭いてくれている。

「ふたりとも、俺がいない間、いい子にしているのだぞ?」
「おとたま、おでかけなの?」

 ひと月帰ってこない、と言っても、子供たちにはその長さがピンと来ていないようだ。
「つまらないなぁ」と言いつつも、そこまで残念そうではない。

「お土産を買ってきてやるぞ」というオスニエルに、オリバーが両手を上げて喜びをアピールする。

 食事を終えると、ポリーとシンディは子供たちの世話を引き受けてくれた。
 ふたりは寝室に放り込まれ、「ご夫婦でごゆっくりなさってください」と侍女たちも聖獣たちも部屋から出て行く。
 お膳立てされると、妙に恥ずかしくなってしまう。
 オスニエルもそのようで、照れたように首のうしろをかきながら、「あー」とうめいている。

「そうだ、フィオナ。以前から進めていたエリオット殿の留学の話だが」
「はい」

 フィオナの弟のエリオットは、現在十八歳だ。王位を継ぐ前に、ぜひ、建築美術や絵画について学びたいと、以前からオズボーン王国への留学を願っていたのである。芸術は王位継承に必要ないという父は、なかなか首を縦に振らなかったが、一年の短期留学は、世界を知るためにも有意義な体験になると言って、オスニエルが働きかけてくれていた。

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