8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
『俺はせいせいする。あいつがいると、お前にべたべたして邪魔だ』

 後宮に戻るとドルフが鼻息荒く言った。

「ドルフってば」

 フィオナが笑うと、ドルフは子犬姿のまま膝に乗ってくる。

『定位置を奪おうとするからな』

 フィオナがその毛並みを撫でてあげると、満足そうに耳を揺らした。

「子供たちのお世話もありがとう。ドルフ」
『ふん。お前に倒れられては困るからな』

 ドルフとふたりでこうしてのんびりするのも、ずいぶんと久しぶりだ。

「あんまり幸せで怖くなるわね」

 ドルフは耳をピクリと動かし、顔を上げた。

『そうか? あまりに束の間すぎないか。俺はもっとのんびりしたかった』

 どういう意味かと問いかける前に、扉が開き、オリバーが飛び込んできた。

「かーた!」

 そのうしろに「待ってぇ」と続くのはアイラだ。

「ドル!」
「かーたま、ここにいたのね?」

 ふたりのお庭遊びはもう終わりらしい。リーフェとポリー、シンディも入ってきた。

「ドル、ドル!」

 子犬姿の時はオリバーのほうが大きい。抱き着かれ……というよりはつぶされそうになっているが、ドルフはおとなしくしている。

「ありがとう、ドルフ」

 小声で囁けば、照れたように耳をピクリとさせた。

『ふん。仕方なくだ』

 フィオナを守ってくれる聖獣様は、口で言うよりはずっと優しいのだ。

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