8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
  *  *  *
 
 オスニエルが公爵領に行ってから三週間ほど経っていた。
 その間、フィオナはのんびりと子供たちと過ごしている。リーフェは『そろそろ湖の様子を見てくる』と言っていなくなり、後宮は穏やかな空気が流れていた。

 一方、オスニエルの言っていた、エリオットの留学の話は順調に進んでいた。
 デニスという名の政務官は几帳面な性格らしく、「後宮に行くわけにはまいりませんから」と、フィオナを城のオスニエルの執務室へと呼び、そこで報告をしてくれた。フィオナは護衛としてカイを連れている。

「エラルドセントラル大学の編入試験に合わせて、エリオット様に王城に滞在していただくことになりました。こちらが日程表です」
「はい」
「オスニエル様より陛下への許可はいただいておりますが、念のためフィオナ様からもこのことをお伝えいただきますでしょうか」
「わかりました。ありがとう」

 日程表を確認すると、エリオットが来るのは二週間後となっている。試験日はさらにその二週間後。合否判定が出るのがさらに一週間後で、決まれば入寮の手続きをして、寮に移る。

「エリオットが来る頃には、オスニエル様も帰っているわね」

 少しホッとしつつ、久しぶりに弟に会えることが楽しみになってきた。

「この日程だと、受かれば入寮するまで、ひと月くらいは一緒にいられるのね」

 フィオナは国王への謁見願いをだし、政務官を通じて約束を取り付けた。
 陛下とは積極的に顔を合わせる関係ではない。オスニエルの母である王妃とは仲がよいが、アラスター国王は、今でもフィオナのことを辺境国の姫だという認識で見ている。話していて楽しい相手ではないのだ。
 しかし、ことは大事な弟のことだ。意を決して、約束の時間に国王の執務室へ向かう。

「何用かな」
「お時間を取らせて申し訳ありません。弟の留学の件で、報告があります」
「ああ。オスニエルが言っていたな。エリオット殿だな」
「はい」

 フィオナが改めて説明し、国王は「まあ、客室は余っている。そこは好きに使えばいい」と興味がなさそうに頷いた。

「ああ、それより。オスニエルの公爵領への滞在が長引きそうだ」
「え?」

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