8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
結局、二日という強行軍で、オスニエルは帰城した。「これから帰城する」という連絡を託した伝令さえもどこかで抜いてしまったらしく、突然戻ってきたオスニエルに、城のものはみな驚いたようだった。
「後宮に向かう」
オスニエルは迎えに出てきた使用人に上着を預け歩き出すと、別の使用人が「国王様がすぐ来るようにと仰せです」と伝えにやってきた。
「……後で行く」
「ですが、今すぐ来るようにと」
仏頂面で威圧しても、使用人は動揺さえしない。国王第一の古参の使用人だろう。
オスニエルはため息をついて、近くのメイドを呼びつける。
「分かった。すぐ行く。……そこのメイド、後宮に行って、フィオナに伝言を。『王との謁見が終わったらすぐに行くから』と」
「かしこまりました」
「父上は? 執務室か?」
「はい」
オスニエルは不機嫌さを隠しもせず、ひとり執務室へと向かった。
国王の執務室には、国王のほかに、政務官が数名いた。相変わらず、ぞろぞろと取り巻きを連れているのが好きな人だと、他人事のように覆う。
「ただいま戻りました、父上」
「お前、なぜジャネット・ロイヤルベリー令嬢を置いてきたのだ」
国王は不満顔だ。思惑を隠しもしない態度に、オスニエルは苛立ちが湧きあがる。
「彼女と一緒に来れば、旅程が長くなります。ただでさえ、ひと月の予定が二ヵ月になっているのです。俺はこんなに長く王都を離れるつもりはなかった。待ちきれないので、ロジャーに任せてきました」
国王は不満そうな顔をしている。オスニエルは言い訳がてら付け加える。
「ジャネット殿は、一度結婚したとはいえ未亡人です。一緒に行動して妙な噂を立てられては、彼女の再婚にも支障が出るでしょう?」
そうでなくとも、かつての縁談相手なのだ。家柄的な部分は申し分なく、おまけにジャネットは昔と変わらぬ……むしろ円熟した色気を持って女として落ちるところはなにもない。
釘を刺しておく意味で、オスニエルは父をじろり睨む。
「後宮に向かう」
オスニエルは迎えに出てきた使用人に上着を預け歩き出すと、別の使用人が「国王様がすぐ来るようにと仰せです」と伝えにやってきた。
「……後で行く」
「ですが、今すぐ来るようにと」
仏頂面で威圧しても、使用人は動揺さえしない。国王第一の古参の使用人だろう。
オスニエルはため息をついて、近くのメイドを呼びつける。
「分かった。すぐ行く。……そこのメイド、後宮に行って、フィオナに伝言を。『王との謁見が終わったらすぐに行くから』と」
「かしこまりました」
「父上は? 執務室か?」
「はい」
オスニエルは不機嫌さを隠しもせず、ひとり執務室へと向かった。
国王の執務室には、国王のほかに、政務官が数名いた。相変わらず、ぞろぞろと取り巻きを連れているのが好きな人だと、他人事のように覆う。
「ただいま戻りました、父上」
「お前、なぜジャネット・ロイヤルベリー令嬢を置いてきたのだ」
国王は不満顔だ。思惑を隠しもしない態度に、オスニエルは苛立ちが湧きあがる。
「彼女と一緒に来れば、旅程が長くなります。ただでさえ、ひと月の予定が二ヵ月になっているのです。俺はこんなに長く王都を離れるつもりはなかった。待ちきれないので、ロジャーに任せてきました」
国王は不満そうな顔をしている。オスニエルは言い訳がてら付け加える。
「ジャネット殿は、一度結婚したとはいえ未亡人です。一緒に行動して妙な噂を立てられては、彼女の再婚にも支障が出るでしょう?」
そうでなくとも、かつての縁談相手なのだ。家柄的な部分は申し分なく、おまけにジャネットは昔と変わらぬ……むしろ円熟した色気を持って女として落ちるところはなにもない。
釘を刺しておく意味で、オスニエルは父をじろり睨む。