8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
「俺は父親だぞ。公爵領から必死に帰ってきてみれば、お前は弟と歓談しているときている。なぜ迎えにも出てこない」
「だって、知りませんでしたもの。帰城するという連絡も受けていませんでしたし」
「帰ってからメイドに伝えさせたぞ?」
「まだ会っていません」
どうやらメイドとフィオナはすれ違っていたようだ。
ならば仕方ないと頭で分かっていても、オスニエルは感情がついて行かない。
「……ふぇ」
せっかく落ち着いたオリバーが、オスニエルの剣幕で、また泣きそうになっていた。
フィオナは唇を噛みしめた。キッとオスニエルを睨み、一歩下がって、オスニエルとの距離を取る。
「とにかく。私はオリバーを落ち着かせます。オスニエル様はお気持ちが落ち着いてから後宮にいらしてください」
「待て、アイラに会わせない気か?」
思わずフィオナにまで叫んでしまった。彼女は一瞬たじろいだようだったが、ふうと息を吐き出すと毅然と顔を上げた。
「そんなことは言っていません。久しぶりに会うのですから、優しく微笑んでから抱き上げてくださいと言っています。……今のままじゃ、できそうにありませんでしょう?」
ぴしゃりと言い放たれ、オスニエルはショックだった。今のフィオナはまるで、子猫を守る親猫だ。夫である自分にまで警戒心をあらわにし、母であることを優先している。
「フィオナっ」
叫んだが、すでにフィオナは背中を向け、オリバーを抱いたまま行ってしまった。
そこに伝言を頼んだメイドが小走りでやって来て、オスニエルを見て頭を下げる。今ようやく彼女を見つけ出したのだろう。
(……遅い!)
地団駄を踏みたい気持ちで、オスニエルは唇を噛みしめた。
「だって、知りませんでしたもの。帰城するという連絡も受けていませんでしたし」
「帰ってからメイドに伝えさせたぞ?」
「まだ会っていません」
どうやらメイドとフィオナはすれ違っていたようだ。
ならば仕方ないと頭で分かっていても、オスニエルは感情がついて行かない。
「……ふぇ」
せっかく落ち着いたオリバーが、オスニエルの剣幕で、また泣きそうになっていた。
フィオナは唇を噛みしめた。キッとオスニエルを睨み、一歩下がって、オスニエルとの距離を取る。
「とにかく。私はオリバーを落ち着かせます。オスニエル様はお気持ちが落ち着いてから後宮にいらしてください」
「待て、アイラに会わせない気か?」
思わずフィオナにまで叫んでしまった。彼女は一瞬たじろいだようだったが、ふうと息を吐き出すと毅然と顔を上げた。
「そんなことは言っていません。久しぶりに会うのですから、優しく微笑んでから抱き上げてくださいと言っています。……今のままじゃ、できそうにありませんでしょう?」
ぴしゃりと言い放たれ、オスニエルはショックだった。今のフィオナはまるで、子猫を守る親猫だ。夫である自分にまで警戒心をあらわにし、母であることを優先している。
「フィオナっ」
叫んだが、すでにフィオナは背中を向け、オリバーを抱いたまま行ってしまった。
そこに伝言を頼んだメイドが小走りでやって来て、オスニエルを見て頭を下げる。今ようやく彼女を見つけ出したのだろう。
(……遅い!)
地団駄を踏みたい気持ちで、オスニエルは唇を噛みしめた。