8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
  *  *  *

「本日は、公爵領よりお戻りになったオスニエル様との会食に招待されています」

 エリオット付きの従者が、夜の予定を知らせてくる。ローランドは脇で聞きながら、昼間のことを思い返していた。
 エリオットと共に王城に滞在するようになって、もうじきひと月が経つ。
 先週編入試験を受けたエリオットは、つい先日合格通知を受け取ったばかりで、これから入寮に向けての準備を始めるところだ。
 毎日のようにフィオナと顔を合わせるようになって、ローランドは昔を懐かしく思い出していた。

 フィオナは、国王の長子でありながら、聖獣の加護が得られなかった姫だ。それは、ブライト王国での王族としての価値が失われたことを意味する。
 それを知った貴族の中には、フィオナを軽んじるものも多くいた。親の考えは子に伝わるもので、伯爵以上の貴族子息の中には、あきらかにフィオナを無視するものも多くなった。

 幼馴染みというだけなく、ローランドにとってフィオナは特別な存在だった。お転婆な彼女はずっと目が離せない存在だったし、その彼女が、姫らしくあろうと自分を抑えていく姿は見ていて胸が痛かった。
 ローランドは、フィオナに笑っていてほしかった。だから、もうひとりの幼馴染みのトラヴィスと共に、フィオナを守ることを誓ったのだ。

(……フィオナ様はなにも言わないが、オスニエル殿下はあきらかにフィオナ様の意志を無視し、強引に動かれる方だ)

 一国の王太子だ。傲慢なところはあってしかるべきだが、彼女が虐げられているようでは困る。
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