8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
「ずっと続けて行くためには、変化が必要ね」
「そうですね……。サンダース商会の方でも紐編みを使った新商品を考えていますが、最近は、売れ行きがいまひとつですねぇ」
新しいアイデアが必要だとは思うが、これは、フィオナだけが考えていく問題でもない。みんなで知恵を出し合って、よりいいものを考えなければ。ひとりの思い付きに頼っていては、いつか先ぼそりしていって当然だ。
「とりあえず、新しい商品のアイデアを募ってみましょう? 子供たちに聞いてみてもいいし、お客様にもアンケート方式でとってもいいわね? 貴族の意見は、……私がもう少し社交をして情報を得なければならないわね」
出産以降、フィオナは社交を控えめにしている。体調不良の期間が長かったことと、子育ての疲れた溜まっていたことが理由だが、もう双子も一歳半。そろそろ、引きこもっている場合ではないのだろう。
そこに、シンディがひょっこりとやってくる。
「フィオナ様、お手紙が届いております」
「まあ、ステイシー様からね。なにかしら」
ステイシー・アリンガム侯爵子息夫人は、元ミルズ侯爵令嬢である。
双子が六ヵ月の頃に彼女が結婚したため、最近はあまり会っていないが、フィオナの大事な友人である。
「お話がある……ですって」
「ではお茶の席を用意しましょうか。お返事を書くから、届けてくれるかしら」
「はい」
シンディが便箋とペンをとってきてくれたので机に向かうと、子供たちがドルフと一緒に帰ってくる。
「かーたま、ローランに遊んでもらったの」
「エリ! も!」
「そうよかったわね。ふたりとも」
一気ににぎやかになった後宮で、フィオナはひそかにため息をついたのだった。