8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~2
たしかにそうだ。傷つけられたのは、ジャネットの方だろう。格下の伯爵家に嫁いだのも、オスニエルとの縁談が破談になったせいで、悪評が付いたからかもしれない。
(そうよね。きっと苦労されたんだわ。ここにきてようやくチャンスが巡って来たと考えるなら、彼女だってもう手放したくはないはず)
フィオナは言葉が見つからなかった。
頭では理解しているのだ。やがてこの大国を治めるオスニエルには、少しでも味方が多い方がいい。フィオナの母国は聖獣の加護を持つとはいえ、それは国を守るために使われるもので、外圧をかけるような類のものではない。
フィオナがオスニエルのためにできたことはせいぜい、個人的に孤児院事業で名前を広め、平民や商人の味方を作ったことくらいで、貴族への影響力はあまりない。
ジャネットが側妃になれば、その点をうまく補ってくれるのだろう。
「でもね、私はあなたのこと、気に入っているのよ」
イザベラは、フィオナの髪飾りを指でチョンと触る。
「歓迎会の日は、お揃いでつけましょうか。私に似合うようなものを作ってくれる?」
「……王妃様」
「ドレスは濃紺にするつもりなの。あなたは? どちらにも合う色で作ってちょうだいね」
「はい。できたらお持ちします」
「楽しみにしているわ」
イザベラのひと言に勇気づけられ、フィオナは顔を上げる。
(そうよね。ジャネット様はジャネット様。私は私だわ。せめて自分らしさを無くさないようにしなくちゃ)
(そうよね。きっと苦労されたんだわ。ここにきてようやくチャンスが巡って来たと考えるなら、彼女だってもう手放したくはないはず)
フィオナは言葉が見つからなかった。
頭では理解しているのだ。やがてこの大国を治めるオスニエルには、少しでも味方が多い方がいい。フィオナの母国は聖獣の加護を持つとはいえ、それは国を守るために使われるもので、外圧をかけるような類のものではない。
フィオナがオスニエルのためにできたことはせいぜい、個人的に孤児院事業で名前を広め、平民や商人の味方を作ったことくらいで、貴族への影響力はあまりない。
ジャネットが側妃になれば、その点をうまく補ってくれるのだろう。
「でもね、私はあなたのこと、気に入っているのよ」
イザベラは、フィオナの髪飾りを指でチョンと触る。
「歓迎会の日は、お揃いでつけましょうか。私に似合うようなものを作ってくれる?」
「……王妃様」
「ドレスは濃紺にするつもりなの。あなたは? どちらにも合う色で作ってちょうだいね」
「はい。できたらお持ちします」
「楽しみにしているわ」
イザベラのひと言に勇気づけられ、フィオナは顔を上げる。
(そうよね。ジャネット様はジャネット様。私は私だわ。せめて自分らしさを無くさないようにしなくちゃ)