マスカレードknight
とん。今度は軽く肩を突き飛ばされたかと思えば。胸ぐら掴まれて、冷たいのと温かいのと同時の感触。唇を塞いでる熱っぽい吐息。冷たい鼻先。中を這い回ってる生温い触手。

なんで。こんなとこで。キス。抱く時しかしないクセに。

口ん中を征服し尽くしてやっと離れた高野。呆けたあたしに無慈悲な眼を細める。

「脳ミソに俺以外のモノを詰めるな。そうやって馬鹿みたいに大人しく俺だけ眺めてろ」

・・・・・・おかしいな。高野があたしをスキって聞こえる。変換機能が壊れたかな、キスなんかするから。

「一生、俺の命令だけ聞け」

「一生・・・?」

でも春が来たらあたしは。
高野にはお嫁さんが。

そんな先の約束できないよ。できない。
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