王子の盲愛
「改めまして、理世です。
よ、よろしくお願いします!
ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした!」
緊張した面持ちで、王弥の父親に挨拶をする理世。
「いや、こちらこそ、強引な結婚を受け入れてくれてありがとう!これからも、息子をよろしく頼むよ」
そう言って、微笑んだ父親。
王弥とそっくりだ。
「理世さんのご両親にも、僕からちゃんと挨拶しなきゃいけなかったのに、遅くなってしまって申し訳ない」
「いえ…!そんな……」
頭を下げて言う王弥の父親を前に、恐縮する理世の両親。
「お義父様、お義母様。
改めて、理世さんを大切にします!
今回は僕の強引な結婚に、快く受け入れていただきありがとうございました!」
王弥も、理世の両親に深く頭を下げた。
「いや。こちらこそ…まだまだ頼りない娘ですが、よろしくお願いします。
それに君は、ちゃんと事前に挨拶に来てくれた。
それだけで、十分です」
理世の父親が、微笑み言った。
「え?お父さん、挨拶って?」
「夏休みに入る前だったかな?王弥くんが、父さんの所に挨拶に来てくれたんだ。
理世と結婚したいって。
正直、大学を卒業してからがいいって思ったんだけど、王弥くんの熱意に負けてね……」
「そうだったんだ…」
まさか王弥が、そんなことまでしていたなんて。
理世は微笑み、王弥を見た。
「王弥くん、ありがとう!」
「うん!当たり前だよ!」
それから食事をゆっくり楽しんだ一行。
王弥と王弥の父親は、二人で席を外した。
「理世、誠実な方ね」
「うん!とっても、優しいよ!」
「そう。
でもね……理世…」
「ん?お母さん?」
「忘れないで。
彼は、八神一族の息子だってこと」
「………うん…」
八神一族は、最大の財閥一家。
華やかな中に、悪い噂もたえない。
そして八神 王弥は、ハイスペック男子。
誰もが憧れている。
が、一方では━━━━━━
冷酷で血も涙もない悪魔だとも噂されている。
理世は、母親の真っ直ぐな視線に大きく頷いた。
そして、一方の王弥と父親━━━━━
煙草を吸っている、父親。
「王弥、ん」
煙草の箱から、一本取り出し王弥に渡す。
受け取り、咥えた王弥。
父親が火をつける。
煙草を持ち、煙を吐いた。
「んー、久々ー」
「そうなのか?」
「うん、理世ちゃんの前では吸えないから」
「そうか…」
「理世ちゃんは、真面目だもん」
「でも、八神一族では当たり前のことだよ」
八神一族では……男は煙草と酒は高校生からという、なんともあり得ないルールがある。
その為、王弥は16歳から煙草を吸っている。
もちろん、理世の前では吸わない。
結婚して四六時中理世といる為、王弥はここ二ヶ月近く煙草を吸っていないのだ。
「わかってるよ。でも、理世ちゃんを巻き込みたくない。それに、理世ちゃんの真面目なとこも大好きだから!」
「…………正直、びっくりだったなぁ」
天井に向かって煙を吐いた父親。
ふと、呟くように言った。
「何が?」
王弥は煙草を咥えたまま壁にもたれかかり、ポケットに手を突っ込んでいる。
「王弥が、理世さんみたいな子を選ぶなんて…」
「そう?」
「王弥は芽衣ちゃん(国松の名前)と、結婚するんだと思ってたから」
「は?なんで?」
「まぁ、正直……八神にふさわしいのは“国松”だからな」
よ、よろしくお願いします!
ご挨拶が遅れて申し訳ありませんでした!」
緊張した面持ちで、王弥の父親に挨拶をする理世。
「いや、こちらこそ、強引な結婚を受け入れてくれてありがとう!これからも、息子をよろしく頼むよ」
そう言って、微笑んだ父親。
王弥とそっくりだ。
「理世さんのご両親にも、僕からちゃんと挨拶しなきゃいけなかったのに、遅くなってしまって申し訳ない」
「いえ…!そんな……」
頭を下げて言う王弥の父親を前に、恐縮する理世の両親。
「お義父様、お義母様。
改めて、理世さんを大切にします!
今回は僕の強引な結婚に、快く受け入れていただきありがとうございました!」
王弥も、理世の両親に深く頭を下げた。
「いや。こちらこそ…まだまだ頼りない娘ですが、よろしくお願いします。
それに君は、ちゃんと事前に挨拶に来てくれた。
それだけで、十分です」
理世の父親が、微笑み言った。
「え?お父さん、挨拶って?」
「夏休みに入る前だったかな?王弥くんが、父さんの所に挨拶に来てくれたんだ。
理世と結婚したいって。
正直、大学を卒業してからがいいって思ったんだけど、王弥くんの熱意に負けてね……」
「そうだったんだ…」
まさか王弥が、そんなことまでしていたなんて。
理世は微笑み、王弥を見た。
「王弥くん、ありがとう!」
「うん!当たり前だよ!」
それから食事をゆっくり楽しんだ一行。
王弥と王弥の父親は、二人で席を外した。
「理世、誠実な方ね」
「うん!とっても、優しいよ!」
「そう。
でもね……理世…」
「ん?お母さん?」
「忘れないで。
彼は、八神一族の息子だってこと」
「………うん…」
八神一族は、最大の財閥一家。
華やかな中に、悪い噂もたえない。
そして八神 王弥は、ハイスペック男子。
誰もが憧れている。
が、一方では━━━━━━
冷酷で血も涙もない悪魔だとも噂されている。
理世は、母親の真っ直ぐな視線に大きく頷いた。
そして、一方の王弥と父親━━━━━
煙草を吸っている、父親。
「王弥、ん」
煙草の箱から、一本取り出し王弥に渡す。
受け取り、咥えた王弥。
父親が火をつける。
煙草を持ち、煙を吐いた。
「んー、久々ー」
「そうなのか?」
「うん、理世ちゃんの前では吸えないから」
「そうか…」
「理世ちゃんは、真面目だもん」
「でも、八神一族では当たり前のことだよ」
八神一族では……男は煙草と酒は高校生からという、なんともあり得ないルールがある。
その為、王弥は16歳から煙草を吸っている。
もちろん、理世の前では吸わない。
結婚して四六時中理世といる為、王弥はここ二ヶ月近く煙草を吸っていないのだ。
「わかってるよ。でも、理世ちゃんを巻き込みたくない。それに、理世ちゃんの真面目なとこも大好きだから!」
「…………正直、びっくりだったなぁ」
天井に向かって煙を吐いた父親。
ふと、呟くように言った。
「何が?」
王弥は煙草を咥えたまま壁にもたれかかり、ポケットに手を突っ込んでいる。
「王弥が、理世さんみたいな子を選ぶなんて…」
「そう?」
「王弥は芽衣ちゃん(国松の名前)と、結婚するんだと思ってたから」
「は?なんで?」
「まぁ、正直……八神にふさわしいのは“国松”だからな」