王子の盲愛
一瞬で表情が柔らかくなり、電話に出る王弥。
カフェ内も、この王弥の変わりように驚愕している。
「もしもし!?理世ちゃん!?」
『王弥くん?終わったよ!今どこ?お家?』
「ううん!駅前のカフェにいるよ!」
『じゃあ、そこに行くね!』
「あ、ダメだよ!僕が迎えに行くよ!」
『待って!そこのコーヒー豆買って帰りたいし、私が行くよ!大丈夫。ほんの数分でつく距離だから!』
「わかったぁ!すぐ来てね!あ、でも、急いで転んだら大変だから、あんまり焦っちゃダメだよ!」
『フフ…相変わらずの王弥くんだね!わかった!』
「フフ…あ、財前」
満面の笑みで通話を切り、表情を消して財前に向き直る王弥。
「はい」
「ほら、もう理世が来るから向こうに行ってよ!」
「そんなこと言わずに、挨拶くらい…」
「は?殺意…湧くけど、平気なの?」
無表情で財前を見ている。
その表情の無さが、逆に恐ろしい。
「はぁーわかりました」
財前がため息をつき、離れようとする。
しかし理世が来てしまう。
「あ!王弥くん!」
「理世ちゃん!」
「お待たせ!
…………あ、財前さん?ですよね?この前のパーティーの……」
「あ、はい!」
「この前は、すみませんでした」
理世が財前に頭を下げる。
「え?」
「私のせいで、パーティーを台無しにしたから…」
「あ、いえ!気にしないでください!
奥様が悪いわけではないですよ!」
「そう言ってもらえると……」
微笑む財前に、理世も微笑む。
「理世!!」
「へ!?」
「僕を見て!!」
「え?王弥くん?」
「僕だけ見てて!!」
「う、うん」
「じゃあ、俺は失礼します」
財前が去っていく。
「…………あ、コーヒー豆買いに行こ?」
財前を見送り、王弥の手を握って見上げた理世。
「うん!」
王弥も握り返し、レジに向かった。
「…………王弥くん」
「んー?なぁにー?」
「見にくいよ、少し離れて?」
「やだ」
コーヒー豆を見ている理世を後ろから抱き締め、頬擦りしている王弥。
「でも、見にくくて……」
「だってぇ、三時間も離れてたんだよ?寂しくて死にそうだった……」
「ご、ごめんね…!」
「ううん。理世ちゃんだって、たまには友達に会いたいかなって思うし。あ、もちろん、女だけだよ!」
「うん」
「ただ…やっぱ、一緒がいい!
理世ちゃんが傍にいないと、生きてる気がしない…!」
「王弥くん…」
王弥の重い愛情が、少しずつ理世にのし掛かってくる。
「凄いな……
“あの”八神 王弥が、一人の女にこんな執着を見せるなんて。
自分自身以外に、興味なんてない人だったのに…」
そんな二人を見ながら、財前は一人呟いていた。
カフェ内も、この王弥の変わりように驚愕している。
「もしもし!?理世ちゃん!?」
『王弥くん?終わったよ!今どこ?お家?』
「ううん!駅前のカフェにいるよ!」
『じゃあ、そこに行くね!』
「あ、ダメだよ!僕が迎えに行くよ!」
『待って!そこのコーヒー豆買って帰りたいし、私が行くよ!大丈夫。ほんの数分でつく距離だから!』
「わかったぁ!すぐ来てね!あ、でも、急いで転んだら大変だから、あんまり焦っちゃダメだよ!」
『フフ…相変わらずの王弥くんだね!わかった!』
「フフ…あ、財前」
満面の笑みで通話を切り、表情を消して財前に向き直る王弥。
「はい」
「ほら、もう理世が来るから向こうに行ってよ!」
「そんなこと言わずに、挨拶くらい…」
「は?殺意…湧くけど、平気なの?」
無表情で財前を見ている。
その表情の無さが、逆に恐ろしい。
「はぁーわかりました」
財前がため息をつき、離れようとする。
しかし理世が来てしまう。
「あ!王弥くん!」
「理世ちゃん!」
「お待たせ!
…………あ、財前さん?ですよね?この前のパーティーの……」
「あ、はい!」
「この前は、すみませんでした」
理世が財前に頭を下げる。
「え?」
「私のせいで、パーティーを台無しにしたから…」
「あ、いえ!気にしないでください!
奥様が悪いわけではないですよ!」
「そう言ってもらえると……」
微笑む財前に、理世も微笑む。
「理世!!」
「へ!?」
「僕を見て!!」
「え?王弥くん?」
「僕だけ見てて!!」
「う、うん」
「じゃあ、俺は失礼します」
財前が去っていく。
「…………あ、コーヒー豆買いに行こ?」
財前を見送り、王弥の手を握って見上げた理世。
「うん!」
王弥も握り返し、レジに向かった。
「…………王弥くん」
「んー?なぁにー?」
「見にくいよ、少し離れて?」
「やだ」
コーヒー豆を見ている理世を後ろから抱き締め、頬擦りしている王弥。
「でも、見にくくて……」
「だってぇ、三時間も離れてたんだよ?寂しくて死にそうだった……」
「ご、ごめんね…!」
「ううん。理世ちゃんだって、たまには友達に会いたいかなって思うし。あ、もちろん、女だけだよ!」
「うん」
「ただ…やっぱ、一緒がいい!
理世ちゃんが傍にいないと、生きてる気がしない…!」
「王弥くん…」
王弥の重い愛情が、少しずつ理世にのし掛かってくる。
「凄いな……
“あの”八神 王弥が、一人の女にこんな執着を見せるなんて。
自分自身以外に、興味なんてない人だったのに…」
そんな二人を見ながら、財前は一人呟いていた。