王子の盲愛
駅を出て、バスに乗る為バス停のベンチに座る。
「寒いね…」
「もう少しで、バス来るよ」
「うん!でもこれだけ寒かったら、温泉気持ちいいだろうなぁ~」
「そうだね!理世ちゃん、もっとこっちおいで?」

王弥が理世の腰を抱いて引き寄せる。
理世もピタッとくっついた。
「うん…温かい……」

「理世ちゃん、さっきスマホ震えてたよ」
理世のスマホが目に入り、王弥はまた無感情で言った。
「そう?ありがとう!後から見とく」
「見ないの?」
「だって、今は王弥くんと旅行中だもん!」
「………」
「…ん?王弥くん?どうしたの?」

「……………理世ちゃん」
「ん?」
「好き!大好き!!」
そう言って、理世を抱き締める王弥。

「え?え?な、何事!?」



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「私共の旅館は、お客様の時間を大切にするという考えておこなってます。
なので、布団敷きはお客様にしていただいておりますので、ご了承下さい。
ご夕食の時間だけ今決めて下されば、あとはご自由にお過ごし下さい。
何かありましたら、ご連絡下さい」

「凄いね!」
「うん!お父さんとお母さんって、旅行にはお金をかける人なの!」
「そうなんだぁ!」
「それにしても、凄い…
でも、王弥くんはこんなとこ何度も来たことあるんでしょ?」
離れの完全個室で、まるでお屋敷みたいだ。
もちろん、露天風呂つきなのでいつでも入り放題だ。

「まぁね…
………………ねぇねぇ~理~世ちゃん!露天風呂入ろ?」
「え?もうお昼だよ?
お昼ご飯食べてからに入ろ?
ここから20分位歩いたとこに、美味しい唐揚げ定食食べれるとこあるらしいの!
今からゆっくり歩いたら、ちょうどいいかなって思ったんだけど……」

「先に理世を食べてから、お昼ごはんにする!」
「………王弥くん、また発言が変だよ?
というより私、食べられるの?王弥くんに」
「そうだよ!
さ、お風呂入ろ?」


露天風呂に入り、後ろから王弥が理世を抱き締めている。
「大きな、露天風呂だね~」
「うん」
「贅沢だね!」
「そうだね」
「お父さんとお母さんに感謝しなきゃだね!」
「うん」
「………王弥くん…さっきからどこ触ってんの……!?しかも、背中とうなじにキスしてるよね?」
「うん、理世ちゃん…スベスベして気持ちいいんだもん!」
「やめて!もう、王弥くんから離れる!」
「は?こら!ダメ!僕から離れないで!?」
「だって、王弥くん…エッチな事ばかりするんだもん!」
そう言って、顔を両手で覆う理世。

「あ…ごめんね…!お願い…泣かないで?
僕、理世ちゃんに泣かれたら、どうすればいいかわからなくなる……」
理世を自分の方に向かせて、顔を覗き込むように言う王弥。

「フフ…」
「え!!?」
「引っかかった~!」
「は?嘘泣き?」
「フフ…」
「理世!!?」
「だ、だって…!王弥くんがエッチな事ばかりするんだもん!
悲しかったのは、ほんとだし……」

「そうだよね…ごめんね!
じゃあ…上がってご飯食べに行こ?お腹すいたな!」
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