王子の盲愛
「王弥く…お願い…」
理世は、王弥を見上げ言った。

「はぁ…可愛い…////何これ…////可愛すぎる……
いいよ!三日、待ってあげる!」

これ以上、何も言えなくなった理世。
結局、王弥の思い通りになってしまうのだった。

「一緒に寝るのはいいよね?
大丈夫。一緒に寝るだけ。
三日って約束したから、手は出さない」
その日、王弥に包み込まれるように眠りについた、理世。かなり疲れていて、コトンと眠ってしまった。

王弥は理世の寝顔を見ながら、理世の髪の毛を優しく払った。
「やっと…手に入れた。
でも、まだまだだな……まだ、理世の心が手に入っていない。とりあえず、まずは三日後だな…
早く、完全に僕だけのモノになって……?」

今は夏休み中の二人。

朝、理世が目を覚ます。
王弥はまだ、眠っていた。
まるで抱き枕のように抱き締められていて、王弥の心臓の音がはっきり聞こえる。

「なんか、いい匂い…」
スンスンと、王弥の胸に顔を埋めて匂いを嗅ぐ。
王弥のつけていた香水とは違う、王弥自身の匂い。

見上げると、王弥の綺麗な寝顔があった。
「綺麗……」
地味な自分とは大違いだ。

“北城 理世ちゃん、おはよ!”
“北城 理世ちゃん、元気?”
“また、明日ね!北城 理世ちゃん!”

王弥の汚物の処理をしたあの日から、王弥は理世のことをフルネームで呼びなら毎日挨拶をしてきて、気にかけてくれていた。

少しずつ理世の心の中に浸透するように、王弥の存在が大きくなっていったのは事実だ。

そして、恋心も抱いているのも━━━━━

ただ………

「私も、王弥くんのこと好きだよ……
でもね、怖くて……」

理世は再度、王弥の胸に顔を埋めた。

「怖いって何が?」

すると、頭の上から声が降ってきた。

「━━━━━!!!?
へ!!?」
バッと、顔を上げる理世。

「何のこと?抱かれること?
それとも、一緒にお風呂に入って身体を見せること?」
王弥が理世を見下ろしていた。

「お、お、起きてたの!?
い、いつから?」
「理世ちゃんが、もぞもぞして起きた時から」
「最初からってことだよね?」
「うん。
寝てるふりしてたら、なんか本音話してくれるかなって……」
「……/////」
「僕の匂い嗅いでたでしょ?」
「あ、ご、ごめんね……いい匂いだなって……」
「ううん!
あと好きって言ってくれて、嬉しかったな!
でも、怖いって何なの?」
「そ、それは……」
「言って?」
王弥が、顔を近づけてくる。
王弥の息がかかり、理世はドキドキして動揺しだした。

「ふ、振られた時のこと、思い出しちゃって……」
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