I adore you.
「すみません」私は言った。

「君は文字通りドールというわけだ」

ご主人さまはそう言いながら私の手をぐっと引っ張った。私はバランスを崩す。

「キャッ」

パラパラとチェスの駒が倒れて落ち、彼が飲んでいたルビー色の紅茶のカップも倒れてまっすぐに紅茶がこぼれる。

気がつくと彼の腕の中にいて、彼は私の首筋に顔を近づけて香りをかいだ。

彼はふ、と甘く笑って私の唇にキスをしようとした。

「や……やめてください!」

バンッ

私は彼を突き飛ばした。

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