I adore you.
「気に入った」

禅問答に返答もできなかったし、チェスはだめだったし、愛玩人形なのにご主人様を突き飛ばしてしまった。気に入られる要素はどこにも見当たらないのだけれど。

「明日から午前はこの部屋に来るように。あとの時間は好きにしてていいよ」

「……わかりました。でもおうちのお仕事はしなくていいのですか?」

「そんなものはフェアファックスさんが取り仕切ってるよ」

「なるほど……」

「欲しいものがあったらフェアファックスさんに言え。絵本でもクマのぬいぐるみでも」

「わ、わたし子どもじゃありません」

「ふ」

こうして奇妙な、ドールとしての私とご主人様の関係は始まった。
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