クリスマスイブにベルが鳴る
ストーブをタイマー設定にしていたおかげで、部屋は暖かい。
スマホを充電器に繋ぎ、テレビをつける。
明日は休みだしシャワー浴びて、着替えたらゲームでもしようかなと考えていると。
ピンポーン、とベルが鳴った。
リビングのデジタル時計は23:20を表示している。
こんな夜に来客?
同じ社宅に住んでる仲のいい同期はまだ飲み会のはず。
酔っぱらいが家を間違えたかと無視してみるが。
ピンポンピンポーンと追加で鳴る。
仕方ない。
安い社宅にカメラ付きインターホンなんて立派なものはないのでドアスコープから覗くと。
…飲み会に残業で来られなかったあの人で。
ガチャガチャと急いで鍵を開ける。
ピンポーン、ピンポ「はいはい、どうしたこんな時間に」
鼻を真っ赤にして立っていたのは、飲み会に来られなかった同期の西野だ。
仕事帰りのままなのか、上着は白いモコモコの暖かいものを着ているが、ボトムは落ち着いた緑色のスカートと黒いタイツで寒そうに体を揺らしている。
「奈良くん、灯油持ってない?灯油」
「……は?」
「ストーブの灯油切れた、たすけて」
切羽詰まった様子の彼女をとりあえず家に入れる。