クリスマスイブにベルが鳴る
年末に向けて、掃除をしておいてよかった。
まあまあ片付いているリビングのソファに座らせると、西野はようやく頬をゆるませた。
「あったかい~」と目を細めながら嬉しそうに笑う彼女。
…その顔、可愛いんですけど。
にやける顔を隠すため一瞬背を向けて表情を隠す。
暖をとってもらうためとはいえ、こんな夜に家に招き入れることになるなんて、俺は何かを試されているんだろうか。
隣に座るには…ちょっとあれなので。
床に座ろうとすると「え、隣に座ったらいいしょ」と服を引っ張られ、そのままストンと隣に腰をおろした。
普段、ひとりで座るには十分な大きさだったふたり掛けのソファは、ふたりで座るには窮屈で。
肩がふれあう寸前の距離感に、心臓の音が西野にまで聞こえないか心配になる。
…まさか片想いの相手がこんな形で家に来るとは思わなかった。