偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
偶然の再会

忘れられない人…真理愛

「ねえ真理愛、やっぱりこっちの方がいいんじゃないかしら?」

今日は朝から一段とママがやかましい。
いつもは私の格好なんて気にもしないのに、今日ばかりは自分よりも私のことが気になるみたい。

「ママ、時間だよ。急がないと迎えが来るぞ」
階段の下からおじさんの声。

「ハーイ、今行きます」
私のクローゼットを覗きながら声を上げるママは、それでもなぜかうれしそう。

まあ仕方ないか。
一人娘のお見合いだものね。
力が入っても不思議じゃない。

「やっぱりこっち。髪はこのままでいいから着替えなさい」
「えぇー」
時間がないのに。

思わず口をへの字にしてしまった私。
そんなこと気にする様子もなくママは部屋を出て行った。

ったく、相変わらずマイペースなんだから。
しかし、いくら言ってもママの性格が今更治る訳もなく周りが合わせるしかない。
私はせっかく着ていたスーツを脱ぐと、ママが選んだワンピースに着替えることにした。
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