偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「あ、そうだ。この間もらったスペアリブ、めちゃくちゃ美味かった」
「そうか」
それは良かった。
「またもらいに行ってもいいか?」
「ああ、その方が俺も助かる」
大学生の途中から一人暮らしを始めた太郎は地元の高級マンションに住んでいる。
実家はあの『高城小児科』だから、バイトなんてすることもなくいい車に乗って悠々自適の生活だが、食生活だけは不自由しているらしく、俺の家の冷蔵庫から時々おかずを持って帰る。
俺の方は毎週冷蔵庫にびっちり詰められるおばさんの手作り総菜に困り果てていたから、ありがたく処分してもらっている。
「そう言えば、昨日は妹もお見合いだって言っていたな」
「ふーん」
わざと気にならない風を装って、俺はコーヒーを口に運ぶ。
動揺したらダメだ。
いくら友人でも、知られてはいけないこともあるんだ。
「場所はロイヤルホテルだろ?」
「ああ」
このあたりでお見合いと言えばあそこしかないだろう。
時々、太郎は俺と彼女のことを知っているんじゃないかと思うときがある。
絶対にボロを出したつもりは無いが、察しのいい太郎のことだから気づいたのかもしれない。そう思うたびに俺の背中に汗が流れる。
「そうか」
それは良かった。
「またもらいに行ってもいいか?」
「ああ、その方が俺も助かる」
大学生の途中から一人暮らしを始めた太郎は地元の高級マンションに住んでいる。
実家はあの『高城小児科』だから、バイトなんてすることもなくいい車に乗って悠々自適の生活だが、食生活だけは不自由しているらしく、俺の家の冷蔵庫から時々おかずを持って帰る。
俺の方は毎週冷蔵庫にびっちり詰められるおばさんの手作り総菜に困り果てていたから、ありがたく処分してもらっている。
「そう言えば、昨日は妹もお見合いだって言っていたな」
「ふーん」
わざと気にならない風を装って、俺はコーヒーを口に運ぶ。
動揺したらダメだ。
いくら友人でも、知られてはいけないこともあるんだ。
「場所はロイヤルホテルだろ?」
「ああ」
このあたりでお見合いと言えばあそこしかないだろう。
時々、太郎は俺と彼女のことを知っているんじゃないかと思うときがある。
絶対にボロを出したつもりは無いが、察しのいい太郎のことだから気づいたのかもしれない。そう思うたびに俺の背中に汗が流れる。