偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「真理愛、あなたが車道に飛び出したんですって?」
「うん。まあ」
否定はできない。

「そもそもなぜこの病院へ来たのよ。用事はないはずでしょ?それに昨日だって帰ってこないし」
「ねえお母さん、ここは病院だから静かにして」
みんなこっちを見ているし。

「何を言っているの。あなたの軽はずみな行動が皆さんに迷惑をかけたのよ、反省なさい」
「わかったから」
「わかってないから、こういうことになったんでしょ」
どうやら私の言葉はお母さんを刺激してしまったらしく、こめかみに青筋を立て肩を震わせて叫んでいる。

「大丈夫だよ、ママ。落ち着いて」
完全に興奮してしまったお母さんにおじさんが寄り添い肩を抱いた。

結局悪いのは私って図、これがいつものパターン。
悔しいけれど、私の味方は誰もいない。

「高城先生」
不意に、おじさんを呼ぶ声がした。

「やはり君か」
低く冷たいおじさんの声。

「すみません」
頭を下げる敬。

副院長先生は2人を交互に見ながら難しそうな顔をしている。
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