偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
俺にとって忘れられない(ひと)
高城真理愛は太郎の義理の妹。
4年前たった一度会っただけの彼女のことが、俺の頭から離れない。
こんなに無条件に、魂が惹かれあうなんてことが本当にあるとは思ってもいなかった。

「まだ大学生なのに、お見合いなんてかわいそうな奴だよ」
どうやら太郎はまだ真理愛の話を続ける気らしい。

俺が初めて会った時、真理愛は高校生だった。
今は大学3年くらいだろうか。まだまだ遊びたい年頃だし、やりたいこともあるはずだ。
何でお見合いなんて・・・

昨日、お見合い会場になっていた日本料理店で真理愛とすれ違った。
ほんの一瞬で声をかけることもできなかったが、確かに真理愛だった。
『綺麗になったな』そう思いながら、俺は気づかないふりをした。
一瞬、真理愛の足が止まるのが見えたから、きっと気が付いていたんだろうと思う。

「お見合い相手とうまくいきそうなのか?」
「いや」

昨日のうちにはっきりとお断りした。
おじさんは不満そうだったが、お見合い相手はほっとしているように見えた。
地元銀行の頭取のお嬢さんだそうだが、きっと俺の噂だって耳に入っているはず。
初めから乗り気ではないように見えた。
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