偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「実は先日の健康診断で、大腸癌が見つかった」
「え?」

まさかこんな話をされるとは思っていなかった。
なんでおじさんが・・・
不摂生はしないし、休日には農作業に汗を流し、食事だって野菜中心。
こんな健康的な生活そしている人はいないのに、病気は関係なく襲ってくるのか。

「月末に入院して手術をする。その後は治療も必要になるだろう」
「ステージは?」
「Ⅱ」

早く手術して治療をすれば、まだ完治の可能性はある。

「この機会に、少し仕事をセーブしようと思う」
「それがいいですね」
今のままの激務では治療もままならないだろう。

「お前、小鳥遊の家に入る気はあるか?」
「え?」

いつかそんな話が出るかもと思っていた。
小鳥遊家には俺以外の血のつながった後継者候補はいない。
母さんが絶縁になっているから俺が継ぐ義務はないと思うが、世話になったおじさんの恩には応えたい。

「急いで答えを出さなくてもいい、こっちに帰ってくるまでに決めてくれ」
「わかりました」
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