偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~

他がために…真理愛

副院長先生の車にぶつかりそうになって病院へ運ばれ、お母さんとおじさんが駆けつけて険悪な空気になってから10日が過ぎた。
無断で外泊してしまった手前おじさんとの間に気まずい空気はあるものの、叱られることもお説教されることもなくいつもの生活に戻った。
もちろんお母さんは事あるごとにネチネチと言うけれど、これはいつものこと。

「真理愛、今日も病院へ行くの?」
「うん」

大学と、2日に一度は行くお父さんのお見舞いが私にとって唯一の外出。
決して「外出するな」と言われたわけではないけれど、無言の圧のようなものあがあって自由に家を出ることができない。
まあこれも自業自得。
子供の頃から好き勝手してきたし、今回だっておじさんに反対されるのがわかっていて敬のところに行ったんだから。

「完全看護の病院なんだからあなたが頻繁に行く必要はないはずでしょ?」

私がお父さんの病院へ行くのを快く思っていないお母さんは今日もブツブツ言っている。
それに対して、私は返事を返すことなくその場を離れる。
これがいつものパターン。
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