偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「お兄ちゃんはどうやって一人暮らしを許してもらったの?」
「俺は男だし、いつか高城の家と病院を継ぐって言えば大抵のわがままは通るよ」
「ふーん」

それは男の子だからかな?跡取りだからかな?それともお兄ちゃんは信頼があったってことかしら。

「お前の場合は簡単じゃないぞ。父さんも母さんもよっぽどじゃないと賛成しないだろうし、そもそも一人暮らしをする理由がないだろ?」
「それはお兄ちゃんだって」
家から車で15分のマンションに住む理由なんてないはずでしょう。

「俺は・・・」
ん?
「何よ」
なんだか言いにくそうな顔。

「とにかく俺のことはいいんだ。今は真理愛の話だろ」
「そう、だけど」
気になるじゃない。

「それで、お前の気持ちはどうなんだ?」
「そうねえ、私がいない方がお母さんもおじさんも幸せなんじゃないかなって、最近思うのようね。一緒にいればすぐ喧嘩になるし、私なんて邪魔なだけじゃないのかなって」
「そんなことないよ」

「そうかなあ」
あると思うけれど。
< 140 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop