偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
「なあ真理愛」
「何?」

「敬也、熱がないか?」
「え?」

驚いてお父さんに抱かれている敬也の体に触れてみる。

少し熱いかな。
でも子供ってもともと体温高いし、少し動いたり眠たくなっただけでも熱くなるから気になるほどではない。

「熱が上がったいけないから、今日はもう帰りなさい。もし夜になって熱が上がるようなら夜間救急の病院へ連れて行くんだぞ」
「うん」

さっきまで元気だったし、きっと大丈夫だと思うけれど。

「帰りはタクシーを使うんだ」
「わかりました」
お父さんも心配性だなあと思いながら、返事をした。

さすがに歩きと電車では敬也がかわいそうだから、今日は素直にタクシーで帰ろう。

この時の私は小さな子供の発熱がこんなに急に起こるものだとは思っていなかった。
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