偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
不思議なくらい、おじさんもお母さんも私たちのことを受け入れてくれた。
反対されることを覚悟して行った私は拍子抜けだったけれど、敬也をかわいがってもらえたことはやはりうれしかった。

「少し話そうか」

高城家からの帰り道、街の外れにある緑地公園の駐車場に車を止めた敬。
私に反対する理由もなく、静かに頷いた。



「今更だけれど、俺はずっと真理愛が好きだったよ」
まっすぐに前を見て話す敬。
「嘘」
反射的に言葉が出た。

「何で嘘なんだよ」
「だって、」
「だって何?」
「・・・私は、子供だし」
出会った時から敬は大人で、私はわがままな子供だった。

「子供相手に子供を作る趣味はない。真理愛は十分大人の女性だよ」

ヤダ、敬ったら。
自分でも耳まで赤くなっているのが分かる。

「でも、何のとりえもない私は敬の負担になるだけで、何ひとつ手助けもできないし」
「大丈夫、自分のことは自分でするから」
「でも、環さんやあの女医さんなら」
私なんかより敬のことをわかってあげられるし、力にだってなれる。

「あいつらは、真理愛とは違う」
「ほら、やっぱり」
彼女たちの方が敬をわかってあげられる。

「そうじゃない。俺にとって女は真理愛だけだってこと」
「え?」
それは・・・えっと・・・

「皆川先生だって、環には普段は見せないような顔をするだろ?」
「ええ」
結構怖くて、別人かと思った。

「俺も一緒だよ。わがまま言えるのも、本性さらせるのも真理愛だけ。それが特別ってことだろ?」
「そうね」

どんなに言い理解者でもお兄ちゃんやおじさんは家族で、敬とは違う。
敬の存在は特別だから。
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