偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
会場に用意されたステージの前方。
最前列に2人を見つけた。


「敬也っ、太一君っ」
周囲の音に声はかき消されたけれど、気迫が伝わったらしく2人とも振り返った。

2人の顔を見た瞬間力が抜けた私はその場にしゃがみこんでしまった。

「ママ」「おばちゃん」
駆け寄ってくる2人。

「よかった無事で、本当に良かった」
思い切り抱きしめた。

もし2人に何かあったらと思うと生きた気がしなかった。
子供を持つってこういう思いをずっとし続けるってことなのだと、実感した。

「おばちゃん、大丈夫?」
太一君が心配そうな顔をする。
「うん。でも、お母さんが心配しているわ」

環さんだって私と同じ気持ちのはず。
早く連れて帰らないといけないんだけれど、力が入らない。

その時、

「おい、大丈夫か?」
いきなり背後から体を支えられた。

「敬」
来てくれたんだ。よかった。
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