偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
お祭りの人波に逆らうように会場の外へ向かう私たち。
敬は右手で私の肩に手を回して体を支え、左手で敬也と太一君の手をつかんで歩いている。
人ごみとは言え大人である敬の歩幅は子供達には大きくて、時々駆け足になりながら敬也と太一君はついてくる。
本当なら「少しゆっくり歩いて」と言いたいところだけれど、今の敬には言えそうもない。
だって、敬から出る怒りのオーラがすごくって・・・



「いいか、話は家に帰って聞くからおとなしくしていろ。いいな」

いつも車に乗せると「ママの隣がいい」だの「」チャイルドシートのベルトがきつい」だのとわがままを言う敬也をけん制して敬が先に念を押すけれど、さすがにこんなに機嫌の悪いパパにわがままを言うほど敬也もバカじゃない。

「はい」

素直に返事をして敬也と太一君はチャイルドシートに座った。
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