偶然から始まった恋の行方~敬と真理愛~
その後、おじさんと皆川先生は病室の隅で話し込んでいる。
私やママみたいな素人にはわからないような医者同士の会話が時々聞こえてきた。
それにしても、敬さんは変わったな。
初めて会った時はまだ研修医が終わったばかりの下っ端だよって言っていたのに、さっき女医さんを叱っている姿は怖かったもの。
口調は穏やかなのに眼差しが強くて、言葉の一つ一つに厳しさがあった。
「あら、杉原先生は大学病院に勤務していらっしゃるの?」
「ええ」
父さんの容態を確認している敬さんに話しかけるママ。
敬さんは言葉少なに答えている。
「じゃあ太郎さんのこともご存じ?」
「ええ。仕事で一緒になることも多いので」
「そう。えっと、先生はおいくつになられるのかしら?」
「息子さんと同い年です。だから気があって、時々一緒に食事に行くこともあります」
「あらそう。それなら今度うちにもいらして。ごちそう用意しますから」
「ええ、はい」
敬さんの困ったなって顔。
この状況で担当医を食事に誘おうとする神経が分からない。
空気を読まなさすぎるのか、父さんの容態に興味がないのか、男の人から見ればこういうところが無邪気で天然ってことなんだろうと思うけれど、娘からする困った人でしかない。
私やママみたいな素人にはわからないような医者同士の会話が時々聞こえてきた。
それにしても、敬さんは変わったな。
初めて会った時はまだ研修医が終わったばかりの下っ端だよって言っていたのに、さっき女医さんを叱っている姿は怖かったもの。
口調は穏やかなのに眼差しが強くて、言葉の一つ一つに厳しさがあった。
「あら、杉原先生は大学病院に勤務していらっしゃるの?」
「ええ」
父さんの容態を確認している敬さんに話しかけるママ。
敬さんは言葉少なに答えている。
「じゃあ太郎さんのこともご存じ?」
「ええ。仕事で一緒になることも多いので」
「そう。えっと、先生はおいくつになられるのかしら?」
「息子さんと同い年です。だから気があって、時々一緒に食事に行くこともあります」
「あらそう。それなら今度うちにもいらして。ごちそう用意しますから」
「ええ、はい」
敬さんの困ったなって顔。
この状況で担当医を食事に誘おうとする神経が分からない。
空気を読まなさすぎるのか、父さんの容態に興味がないのか、男の人から見ればこういうところが無邪気で天然ってことなんだろうと思うけれど、娘からする困った人でしかない。