偶然から始まった恋の行方～敬と真理愛～
4年前、たった一度だけ会った人。それが杉原敬(すぎはらけい)さん。
偶然出会い、なぜか惹かれあって、一晩一緒に過ごした。
とはいえ当時の私はまだ高校生で、ただ一緒にいたっていうだけ。
それでも、私にとって敬さんは特別な存在になった。

その頃、私はいつもママに反抗していた。
友達とカラオケに行ったり、1人でぶらぶらしたり、内緒でコンビニのバイトをしたり。決して悪いことをしていたつもりは無いけれどいい娘でもなかった。
そんな調子だから、世間に「高城小児科の連れ子は不良だ」って評判が広まるのはあっという間。
噂なんて私は全く気にしていなかったけれど、ママは「娘まで不良になって、私はなんて不幸なのかしら」と大げさに騒いでみせた。それが嫌で私はまた家を飛び出す。その繰り返しだった。

あの日、連絡先を交換することもなく別れた私と敬さん。
お互いに家も素性もわかっていて会う気になればいつでも会えると思っていたから、必要性を感じてもいなかった。でも、私たちはその後一度も連絡をとることをしなかった。
あれから4年。
その間に私は大学生になり人並みに恋もしたけれど、いつも自分をごまかしているようで、誰に対しても本気になれていない。
きっと、それはあの日の思い出があったからだと思う。
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